

ストーリー
人見知りの女の子が、アトリエを開き、教える立場になるなんて――。
2015年3月、「DOLCE&Co.」の前身である「A.Dolce(アトリエ・ドルチェ)」は産声を上げました。これは、ものづくりを通して自分を見つめ直し、たくさんの大切な仲間たちと出会うまでの、私の一歩一歩の物語です。
1. ものづくりが好きだった少女が、看護師になるまで
1970年、私はものづくりが大好きな両親の元に生まれました。 小学生のころには、工作や手芸が大好き。その反面、運動や人前で話すことはちょっぴり苦手な、静かな少女でした。
当時流行っていたビーズとワイヤーで夢中になってトンボや蜂を作ったり、夏休みにはお菓子の空き箱で貯金箱を作ったり。冬に母が楽しそうにセーターを編む姿を見ては「私もやってみたい!」と真似してみるものの、当時の私にはまだ根気が続かず、ちゃんとした作品を完成させられたのは大人になってからのことでした。
そんな少女時代を経て、大人になった私は看護師の道へと進みます。 「手に職をつけ、人のためになる仕事を」という教えを胸に、10代後半から20代前半は、朝から病院で働き、午後からは学校へ通うという、目まぐるしい日々を過ごしました。 資格取得後も、昼夜を問わない過酷な交代制勤務。「人見知り」をしている暇すらないほど忙しい毎日の中で、遊び盛りの20代、かつて私をあんなにワクワクさせてくれた「ものづくりの喜び」は、いつしか記憶の彼方へと忘れ去られていました。
2. 人生を変えた、夫の「あの一言」
30代で結婚し、長男を授かったときのことです。 育児中に両手が空くような「大きめの斜め掛けバッグ」が欲しくて、お腹の大きな体を引きずりながら、一日中ショッピングモールを歩き回りました。 けれど、予算やデザインでどうしても納得がいくものに出会えません。結局、夕方に妥協して一つのバッグを購入した私に、主人はあきれ顔でこう言いました。
「自分が本当に欲しいものがあるなら、自分で作るしかないんじゃない?」
そのときは「そうやね」と聞き流したものの、この言葉はその後も、私の心に何度もリフレインすることになります。
その後、次男を出産し、年子の男児2人の育児がスタート。想像以上に過酷な日々でしたが、専業主婦として子供たちのお昼寝布団カバーや幼稚園バッグを手作りしていくうちに、忘れていた「手作りの楽しさ」が少しずつ、私の中に蘇ってきました。
3. 止まっていた時間が、動き出した瞬間
ある日、スーパーの手芸売り場で、食器を自分好みにデザインできる教室があることを知りました。 「へえ、食器も手作りできるんだ。やってみたいな……」 そう思いつつも、当時の息子たちはまだ幼稚園児。自分の自由時間はすべて家事に消え、習い事に行く心の余裕なんてありませんでした。
やがて次男が小学校に入学し、ようやく自分の時間ができた私は、本屋さんでパートを始めました。今振り返れば、この時の接客経験があったからこそ、のちに講師として人と接することが自然と大好きになれたのだと思います。
パートを始めたことで、少しだけ増えた自分のお小遣い。 ある日、ふらりと立ち寄った手芸売り場で、あの時「やってみたい」と思った教室――「ポーセラーツ」の講習が目の前で行われていたのです。 数年前の記憶が一気に蘇りました。一緒にお買い物をしていた妹に、私は少し興奮気味に話しました。 「私、これずっとやってみたかったの!食器を自分好みにデザインできるの、すごくない!?」 すると妹は優しく笑って、「お姉ちゃんがやってみたいなら、私付き合うから一緒にやってみようよ」と言ってくれたのです。
その温かい後押しで、即入会。すっかりポーセラーツの魅力に取り憑かれた私は、妹が卒業してからも学びを続け、2015年1月にインストラクターの資格を取得。そして同年3月、ついに「アトリエ・ドルチェ」を開業したのです。
4. 試練、そして原点回帰から「DOLCE&Co.」へ
開講当初は手探り状態でしたが、師匠のアドバイスや家族の協力もあり、自宅教室を開講。育児、家事、パート、そして教室。順調に生徒様も増え、さらにガラスフュージングなど「色々習える教室」へと成長し、パートを退職できるまでになりました。
しかし、充実した日々の最中、コロナ禍が世界を襲います。 おうち時間が増えたことでハンドメイドの形は変わり、動画を見れば独学で学べる時代へ。さらに追い打ちをかけるように、私にとって大切な活動拠点であった手芸売り場の講座が、全国一斉に閉鎖されるという通知が届いたのです。
焦りと不安の中で、私は何度も自分に問いかけました。 「私は、何がやりたいんだろう。何が好きなんだろう」
実は、以前に一度だけレザークラフトに挑戦したことがありました。夫の「自分で作ればいいんじゃない?」という言葉に背中を押され、独学で始めたものの、当時は壁にぶつかり、革から離れてしまいました。
コロナ渦を経て改めて自分を見つめ直す中、カルトナージュのスキルを深めると同時に、もう一度レザークラフトを一から学び直そうと決意しました。これまでアクセサリーやポーセラーツの製作販売や教室運営を通じて、たくさんの方と出会ってきました。そこに「革」という新たな素材を掛け合わせ、作品の幅を広げ、より深い技術を伝えていきたいと思ったのです。そんな矢先、長年通った講座の閉鎖が決まりました。大きな喪失感がありましたが、これは「自分の足で立ち上がる時が来たのだ」という合図のように感じました。そして行き着いた答えは、とてもシンプルでした。
「私は、ものづくりが好き。教えることも、誰かとつながることも大好き」
これまでの11年間、私にとってものづくりとは「教えるためのスキルアップ」が基盤でした。 これからは、教えることはもちろん続けながら、私自身も一人のアーティストとして、この愛おしい素材たちと共に、誰かの「欲しい」を満たす作品を作っていきたい。もっと柔軟に、一人ひとりの「やりたい・欲しい」を叶えられる場所にしたい。
「アトリエ・ドルチェ」は、ドルチェ(デザート)のように『やさしく、丁寧に、一人ひとりの暮らしにHappyで豊かな気持ちを届ける』をコンセプトに歩んできました。 11年が経ち、今強く想うのは、私がハッピーを与えてきたのではなく、お一人おひとりの生徒様、作品を手にしてくださるお客様という「仲間」に支えられて今日まで歩んでこられたのだという、深い感謝の気持ちです。
これまでの11年、数え切れないほどのきらめく時間を共にしてきた大切な仲間たち、そしてこれから出会う仲間たちと共に、進化し続けるアトリエでありたい。
そんな願いを込めて、2026年3月、アトリエ名を「DOLCE&Co.」(ドルチェ&カンパニー:ドルチェと仲間たち)へと変更いたしました。
新しく生まれ変わった「DOLCE&Co.」を、これからも温かく見守っていただけますと幸いです。
経歴
2012年ポーセラーツと出会う
アルバイトと主婦業の傍らお楽しみコースから始まり
2015年1月 日本ヴォーグ社認定ポーセラーツインストラクター取得
2015年3月 ポーセラーツ出張講習始める
2015年4月~ イオン京都西手づくりroomポーセラーツ講座開催(2016年3月閉鎖)
2015年5月 アトリエべにいろ主宰作品展に出展
2015年6月~ ポーセラーツ自宅教室開講
2016年3月 日本ヴォーグ社認定フレンチデコインストラクター取得
2016年5月 フレンチデコ・カルトナージュレッスン開始
2016年5月 日本キルンアート協会ガラスフュージング講師資格取得
2016年6月~ イオン洛南店手づくりroom”フレンチデコ”講座開講
ガラスフュージング講座開講
2016年6月 アトリエべにいろ主宰作品展に出展
2016年8月 日本ヴォーグ社認定クレイクチュールインストラクター取得
2016年9月~ クレイクチュール講座開講
2017年5月 パスマントリージャポン協会(APJ)認定講師資格取得
2017年6月 APJタッセル講座開講
2019年5月 クレイクチュールアヴァンセ(上級コース)修了
2019年8月 ガラスフュージングアドバンスコース(上級コース)修了
2023年11月~ マコトレザーワークスにてレザークラフト講習受講中
2024年3月 アトリエカルトナージュサティフィカコース修了
2024年4月~ 自宅レッスン閉鎖、オンライン及び出張レッスンのみとなる
2026年1月 ハンドメイドマーケットminneリニューアル
2026年3月 DOLCE&Co.にアトリエ名変更
マルシェ初出店 以降年数回のマルシェ出店予定
